白い闇とラジオノイズ   

サイレントヒル   

◆1999年発売  ◆ホラーアクション  
◆発売元=コナミ
◆ストーリー=ハリーは娘のシェリルと休暇を過ごすために、寂れたリゾート地「サイレントヒル」へ車を走らせていた。突然道路を横切った人影を避けようとして崖下へ車が落下。 気を失っていたハリーが目覚めた時、娘の姿は無かった。ハリーは娘を探して霧の町サイレントヒルを彷徨う。
■本当に怖い。一人でプレイしたら気が狂いそうになります。意味も無く女性の悲鳴が聞こえたりガラスの割れる音がしたり、建物は暗く錆び付き、人間の原型をとどめた化け物が物陰から突然現れ…。まさに悪夢。結局私は一度も一人でプレイせずに、友人に泣きついて一緒にやってもらいました。バイオハザードの比ではない。あれはまだ正気の世界だった。
■上手いと感心したのは、白い霧ラジオノイズの演出。サイレントヒルの町は霧が濃く雪が降っていて視界がきかないので、敵の出現はラジオノイズが頼り。敵が近づいてくるとラジオの電波が乱れノイズが入る。霧で霞む道路の先で何か動く影が見えたり、突然ザーッとノイズが大きくなったりすると、もう心臓が跳ね上がります。しかし、ひと気のない霧の町に、ちらちら降る雪が結構ノスタルジックでいい感じです。屋外ではまだそう思う余裕もあったなあ…。
■ストーリーが進むにつれ、現実の世界と『裏世界』が交互に入れ替わるようになります。建物は錆だらけ、異様な死体があちこちにぶら下がり、意味もなく金網が張り巡らされていて、赤黒いのは錆なのか血なのかよく判らない。こんな息苦しくなるような背景を制作したスタッフを尊敬します。正気の沙汰じゃない!(褒め言葉) ■そんな狂気の世界を、ハリーは娘のために爆走。会う人に真っ先に聞くのは「娘を見なかったか!?」。怪物の徘徊する異様な町の中で、父親の愛情は少しも揺らがない。『サイレントヒル』は危機的状況から脱出するのではなく、自分が救出する側にあるからこそ、頑張れるのだと思います。 ■度々出てくる謎解きの中に「オズの魔法使い」や「不思議の国のアリス」など童話のモチーフが使われています。更に(シェリルの筆跡のメモや、悪夢に関する書物の内容など、この悪夢の世界にシェリルが影響を与えているのが仄めかされる。)次第に「この世界ってもしかして…(汗)」と背筋が寒くなってきます。
■OPムービーが綺麗です。淋しい風景、どこか郷愁的な音楽。つい何度も見てしまいます。キャラCGの顔の造形がかなり人間に近く、特にシビルが実際ハリウッドにいそうな女優のように見えます。スクウェアとはまた違ったリアルな雰囲気のCGに感心。顔立ちが、日本人ではなくホントに外国人の造形なんですね。 ■バイオと同様、基本はハンドガンなのですが、弾数節約のためには打撃武器が必須。鉄パイプ、災害用ハンマー、斧を振り回してパパは頑張ります。病院内で寄生された看護婦や医者が出てきて、しかも姿や悲鳴は人間のままなので、さすがにそれらをハンマーでガンガンやるのは恐ろしかった(泣)。まだゾンビの方がましだ…。 ■グッドEDの方でも、よく考えると切なくなってくる。(ハリーはシェリルとの7年間の思い出を、どうしたらいいんだろう。この赤ん坊はシェリルなのかまったく別の子なのか。)この葛藤の答えが『サイレントヒル3』で見られます。切なさ倍増ー!
■ED後のおまけ映像が、最初は驚くけど、すごく洒落ていて面白い。みんなおちゃめです(笑)。


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