海は広くて当然迷う
幻想水滸伝W
◆2004年 ◆RPG ◆製作=コナミ
ストーリー=ガイエン海上騎士団の新人として任務に就いていた主人公は、海賊の襲撃の最中に廻りまわってきた『罰の紋章』を受け継いでしまう。罪の濡れ衣を着せられ国外追放の後、国同士の争いに巻き込まれていく。紋章は強大な力と引き換えに主人公の命を削っていった。
■108人の仲間集めRPG第四弾。今度の舞台は海!ということで、船を操作しなければどこへも行けない。よく船の操作が難しいという話を聞いていましたが、私はそんなに苦労しませんでした。ダッシュはちゃんと使ったし、操作も3D方式(バイオ方式)と考えればさほど難しくはなかった。航海中も、引き網していると思うと楽しみだったり。ただ、さすが海。目的地までが遠い!方向が合っているか何度も海図を見ました。 ■主人公は、今までの主人公のタイプとはかなり違う雰囲気。服が赤じゃないし、何より目つきが何かこう…恨みがましい?序盤の顔グラフィックは割とかわいい顔なのに、国を出てから鋭い目つきの顔に変わっててびっくり。ちょっと恨んでたの主人公?すさんじゃったの?軍の名前はブレス軍、本拠地はバロック。ごめん他社のゲームタイトルで(笑)。バロックなんて響きはかっこいいと思うんだけど。意味は気にしちゃ駄目。
■面白いと思ったのが4主の境遇。海で拾われ、貴族のぼっちゃんの小間使い。シリーズ中一番地位が低い!本来なら親友ポジションのスノウとは、幼馴染でありながら主従という微妙な関係。初期の『友情攻撃』は誰もが「どこが友情!?」と突っ込んだことだろう。命令してるよ!しかしこのスノウが画期的なキャラだった。海戦の最中に逃げ出したり言い訳したり、その常識的な弱さには共感できるものがある。命がかかってるときに、そうそう格好つけてばかりもいられないよね。その後彼は4主よりもはるかにジェットコースターな人生を送ることになる…。 ■戦闘は四人。テンポは速くて良かったけど、人数は6人の方が好きだった。せっかく戦闘キャラがたくさんいるので、色んな人を使いたいし。今回は協力攻撃が使える人中心に選択しました。キカと主人公の『双剣攻撃』は最後まで使えて便利。序盤ではシグルド&ハーヴェイ、アカギ&ミズキに大変お世話になりました。育てたい人はたくさんいたけど、何人かに絞らないといけません。何故なら、武器を鍛えるのに莫大なお金がかかるから!終盤になってもお金は余ることなくすべて武器代に消えます。シリーズで一番お金を使った気がするなあ。
■お金を貯める為に、今まであまりやったことのない交易をやってみました。攻略本を参考に、真珠を買いあさって、噂話を何度も聞いて真珠高騰を起こし、一気に売却。そうしたらあっという間に貯まりました。交易万歳!そして宝探しを意外と熱心にやりました。システムは単純ながら、宝が見つかるとやっぱり嬉しい。カードやリタポンはどうやっても下手でした。 ■序盤。地位が低い上に濡れ衣まで着せられて流刑になる4主。見た感じ意志が強そうなので、そんなにへこんではいないと思う。しかしやはり(騎士団の仲間二人がついてきてくれた時は嬉しかった。)私はタルとポーラにしました。何となくの選択でしたが、プレイしていくうちに良い組み合わせだったと一人で満足。鈍感ゆえに大らかなタルと、常識的だけど結構思い切りがいいポーラは、なかなか頼り甲斐があるのでは。
■上の四コマはネタではなく、ホントにゲーム本編でまんじゅう10個なのです。よく他のサイトさんで、4主がまんじゅう好きになっていたんだけど、これの影響だったようです。まんじゅう屋夫婦が仲間になった時はさぞかし嬉しかったことでしょう(笑)。
■4主とは対照的に、スノウは頑張ってるのに悉くうまくいかない。ああ、悪い子じゃないのに。私はスノウをかなり好きになれました。何だろう。駄目な子ほどかわいいとはこの事か(笑)。敵対したスノウを捕らえると出てくる選択肢の一つが(「首を切る」。切っちゃダメーー!!たとえリセット前提で、どうなるか見てみる為でも、切れないよ…。早く仲間になって欲しかったのに彼は頑固に拒否。3回の遭遇(その度に衣装チェンジ)を経て一番最後に仲間になるのでした。もちろん速攻で育てたよ。一番ましと思われる海賊服を手に入れる為に、引き網してイワシ×99もやったよ。
■漂流したり無人島でサバイバルしたり、苦労もしたけど親切な国王に拾われた4主一行。スカウトを任されいよいよ仲間集めが始まります。最初、こんな暗い洞窟が本拠地?後で別の場所に移動するんだろうかと考えていたら、なんと(今回の本拠地は船でした!動く本拠地!ちょっとびっくりして楽しかった。洞窟が暗かったので、海に出てからの明るさが気持ちいい。)そして4主がリーダーに。うわー地位が一気に上がった! ■仲間集めはやっぱり楽しい。どうしても収集癖を刺激されてしまいます。また、目安箱お風呂イベントを見ると、仲間になった後で新しい人間関係が築かれているのが面白い。何故かトラヴィスが猫ボルト大好きだったり、アルドがテッドをやたらと気にしたり、ロウフォンが勝手にランキングつけたり。あと壁新聞の連載小説『ゆううつ夫人』、シュールでいいと思うんだけどなあ(笑)。平仮名で『ゆううつ』って所がセンスある。
喋らない主人公の心情を想像で補うのが幻水の醍醐味。私の4主イメージについて書いてみよう。スノウの小間使い歴が長いので、スノウのヘタレぶりには今更何とも思っておらず、むしろヘタレじゃなくなったら嫌だ、と変なこだわりを持っている。国外追放だろうと漂流だろうと、状況の変化は気にしない。ただ、小間使いやってた頃の『狭い世界』が好きだったのではないだろうか。広い海に出て、本拠地のリーダーやってても、昔の自分の全てだった狭い世界に比べたら、どんな状況もどうでもいい。うちの主人公はそんな感じの冷めた性格です。リーダーもいいけど小間使いも良かったな、とか(笑)。そんな4主にスノウは嫌いだの何だの言ってくれます。果たして「こんのやろう」と思ったかどうか(笑)。 ■攻略本に書いてあるスノウの性格についての記述がものすごく的を得ている。『根は善良だが、やや独善的で、打たれ弱い』ホントにその通り!性格形成に関してはグレン団長の指導にも問題があったと思う。叱るも褒めるも全てプラスにならなければ意味がないよ、団長。4主に対しては、自分の弟分みたいな感じだったのに、いつの間にか能力面では越されていたのを認めたくなかったんだろうなあ。 ■もう一人の重要人物は敵側クールークの指揮官トロイ。序盤の遭遇と終盤の対面は、感慨深いものがある。(あの時見逃していなかったら。些細な事がこんなに重要な分岐点だったとは二人も思わなかっただろう)。終盤のコルトンのセリフで、(「クールークだけが世界ではない」と言っていたけど、それとは対照的にトロイにとってはクールークだけが世界だったんだろう。この人も狭い世界に拘っていたなあ。
■さて、ストーリーに直接絡まないものの忘れてはいけないのがもう一人。多くの幻水ファンが、彼が出るということでWプレイを決意し、そしてOPムービーで「テッドォォォ!!」と叫んだことでしょう。Tの明るい彼になる150年前はどうだったかというと、(怪しい船に引き篭もってました。何とか引っ張り出して仲間にしても、構うな頼るなほっといてくれと精一杯突っ張ってます。けどちょっと抜けてるのがかわいい。)魔力が高い上にあの紋章も強いので、最終メンバー確定。決戦前夜のイベントで(「一生のお願い」されてギャァァってなったプレイヤー多数(笑)。)EDのその後の記述に、じーんときました。
■他のキャラについて。ビッキー=おしとやか系になってる?ジーン=今までで一番の露出度。トリスタン=ユウ先生のおくすりでないとプラシーボ効果が無いのが微笑ましい。マキシン=普段の無愛想な性格と目安箱のギャップが激しくてびっくり。
■ラスボスは(何故か木だった…。ファイバーツリーみたいに光ってた。このちょっと唐突なラスボスは続編のラプソディアで説明されるんだろうか。)幻水シリーズでは、よく国家間の争いにまったく個人的な感情が絡んでくるのですが、(今回も割りとそうでした。冷静な策略家だったクレイが、あんな理由で紋章を手に入れたがっていた。それが狂気であっても人間らしかった。しかも、普通敵は冥土の土産に色々教えてくれるものなのに、「勝手に想像して、勝手に傷付くがいい」と放置!ちょっと新鮮だったな(笑)。 ■プレイする前に、すでに色々なサイトさんを廻ったのですが、よく目にするのが「短い」という評価。私もそう感じました。もっと紆余曲折あって、主人公側が2回くらいどん底に落ちてもいい。割とすんなり勝てたような気がします。サクサク進めるのも楽しいけど、RPG好きならダラダラ長くても全然平気ですよコナミさん。まあ次にラプソディアがあると思っていたから、あまり不満は感じませんでした。仲間を集めて育てて、目安箱やお風呂や懺悔室、引き網や交易、宝探しなど目一杯楽しみました。


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