生き残った人たち

零〜刺青の聲〜

◆2005年 ◆アクションホラー ◆制作=テクモ
◆ストーリー=事故で婚約者を失った黒澤怜は、撮影の仕事でとある幽霊屋敷を訪れる。撮影中、死んだはずの婚約者、優雨の姿がカメラに写り、彼の姿を追って廃墟の奥へ踏み込む。白昼夢の中で、雪の降る巨大な屋敷に迷い込み、現実に戻った後も度々その屋敷のを見るようになる。目覚めた後はいつも体に刺青が広がっていた。 ■今回の操作キャラは3人。主人公の怜の他に、一作目の主人公深紅、二作目主人公澪の叔父螢がいます。シリーズファンには嬉しい限り。また、初めての人は前作がかなり気になるのではないでしょうか。テクモさん商売上手…。3人ともそれぞれ戦闘や探索の方法が違い、プレイに幅が出ています。外見もまったく違うので、そこも何だか気分が変わって楽しい。
■眠りにつくと夢の中で屋敷の探索を行い、目が覚めると日常生活に戻る。この新しいシステムがとても良かった。やはりずっと屋敷や村の中(しかもずっと夜)だとかなり精神力を削られます。今回は目が覚めるとほっとする。けどそのうち現実もだんだん油断ならなくなります…。いかにも出そうな廃墟より、普通の家での怪奇現象の方が実は怖いのがよく解りました(汗)。いろんな場所が気になる。仏間とかバスルーム、暗室、深紅の部屋の和人形とか! ■主人公のは、前作までの主人公と違い非常に大人っぽいです。婚約者を亡くしたとあって、どこか陰があるのもいい。『眠りの家』で優雨の姿を追いかけ、刺青に侵食され、このままだと死ぬと解っていても引き返す気になれない。そんな危うさが魅力です。深紅が住み込みのアシスタントで、食事などの世話をしてもらっているのが微笑ましい。寝る時の格好がセクシーすぎ(笑)。戦闘では強化レンズが使え、スタンダードに強い感じ。
■怜のアシスタントをしている深紅は、一作目から2年後とあって少し大人びたけど、やっぱり怜と比べるとまだまだ可愛いです。まだ元気の無い怜を気遣い、きちっと家事をこなしているのに感心。部屋の趣味が、かわいいながらも渋い?しかし後半になって、兄の真冬を失った過去に引き摺られ、だんだん不安定になっていきます。戦闘では強化レンズは使えないものの、攻撃力は一番強い経験者。また小柄なので床下に潜り、他の二人とは違った経路での探索も可能。もちろん床下だろうと出るものは出ます。 ■初の男性操作キャラ、。姪の澪を救う為に奔走します。叔父と姪という関係が、なんとも中途半端で良いです。親子兄弟ではないけど、父性と責任感が生まれる。つい叔父さんを応援したくなります。男性ゆえに霊力は弱く、戦闘を避けて隠れたり逃げたりする必要があります。衝立に隠れて怨霊をやり過ごすこの緊張感が、何だかとても懐かしい…。これは…この感じは…クロックタワー!!逃げるか隠れるかしかなかったクロックタワー再び!螢での操作はそんな懐かしさで一杯でした(笑)。
■夢から覚める度に体に広がる刺青。これは目に見える苦痛として、効果的な小道具だなあと思いました。そして怨霊『刺青の巫女』の全身刺青はかなりの迫力。今回の久世家の儀式もまた凄惨で傍迷惑なものでした。零シリーズの色んな儀式って、巫女一人が大変で、その他の人はさほど苦労していないような…。巫女もグレて災厄起こしたくなるだろう。 ■今回の一番怖かった怨霊は『四つん這いの女』。深紅で床下探索の時に出てきます。アップの顔が怨霊の中で一番怖い!四つん這いの動きも嫌。後は複数で出てくる巫女にてこずりました。ちっちゃい巫女がかわいい生意気そうな声で「絶対逃がさない」とか言いながらフワフワ飛び回り、一方に気を取られてる隙にもう一方がカンカン杭を打ちつけてきます。すっごく小生意気!だけどなんか可愛い。 ■序盤の怜の操作では、戦闘でちゃんとシャッターチャンスを狙えたんだけど、次の深紅の時はやけにシャッターチャンスが短く、うまく撮影できずに苦労しました。経験者の深紅の時は敵強いのか?でも操作してるのはヘタレプレーヤーに変わりないので、あんまり難しくしないで(泣)。螢の時は、普通に撮影してもあまりダメージないので、どうしてもシャッターチャンスを狙うしかない!意外と強制戦闘があって大変でした。戦闘が大変だった場所は、梁の上。落ちる心配はなかったけど、逃げ場が無くてぐるぐる見渡すしかない!床下も入った時点で自分視点になるので、後ろが怖くてしょうがない。こういう場所は今までの零には無かったので新鮮でした。
■怨霊の攻撃が多彩です。縄の巫女だったかな、両手足をつかまえて磔っぽい格好にさせられる。それが深紅だとなんかドキドキする(笑)。久世家当主は手を飛ばしてきます。たくさん手があるからいっぱい飛ばしても大丈夫。そしてラスボスの刺青の巫女。つかまると一撃死の時が一定時間あり、うまく逃げ回れずに何度死んだ事か!2度目は倒せる自信がありません…。 ■夢の中だけでなく、現実でも怪奇現象が発生します。プレイを早く進めた為、たくさんは見ていないけど、怖かったのが(暗室。奥のロッカーの陰から、白い足が…。狭いところに出ると怖い(泣)。そして洗面所の鏡越しに、誰か通り過ぎるのも嫌だったー!自室のベッドの下の足も!)家は電気が点いてるのに、いや、だからこそ何か出ると怖い。 ■3人のメインキャラの立場の違いがうまくストーリーに関わってきています。大事な人を失った過去に苦しみ、(夢の中で兄を追ってしまう)深紅。今生きている澪を救おうとし、希望を捨てない螢。その間でぐらぐらする怜。しかし終盤で、(一番前向きで、死者に捕らわれることのなかった螢が、失踪)。き、厳しい。そういえば今までの『零』もシビアだった。前二作では、結局どんなに頑張っても大事な人を救えず、『紅い蝶』EDではかなり呆然としました。)ああスタッフさん厳しいよ…。(そして螢がかわいそうでED2の為に二周目をさせようというわけです。上手い、ずるい!
■深紅や怜と違い、叔父という責任ある立場の螢。一番精神的にしっかりしていて、悪夢に捕らわれる心配もなさそうだったけど、十一ノ刻でうなされている時の寝言を聞くと、そうでもなかったようです。(「澪、繭、行っちゃ駄目だ…」「優雨、真冬、どうしてなんだ。置いていかないでくれ…」)。ああっ、葛藤してる…。やはり叔父さんも辛かったか(泣)。 ■巫女さんは(外部の人との悲恋になりやすい。要さんは、最初あまり気にならなかったんだけど、最後に零華を探して奥まで来た時には見直した!しかも螢と同じように屋根を飛び移ったらしい。根性ある。偉いよ!そして当主のあの仕打ちには、零華さんも怨霊化して当然。「もう見たくない」が胸に突き刺さる。)生前(?)の巫女姿で、袴が紺色だったのが印象的。普通は赤だけど、紺もいいですね。 ■エンディングは切なかった!大体の予想はつく。(残された人達は生きていくしかない)。でもやっぱり切ない!そしてこれ以上ないタイミングで主題歌が流れて、テンション最高潮。やっぱり天野月子さんの曲はテンションが上がる。『紅い蝶』のEDも、同じように大事な人との別れがあったけど、切ないというよりショックで呆然だったな。決定的な違いは、繭と優雨の思い。繭のは独占欲のような愛情だったのに対し、優雨の思いはとても健全で思いやりのあるものだった。『零』でハッピーエンドは無いものと思っていたので、このEDは切ないけど救われました。)やっぱり『零』大好き。最後に、『プロジェクト零』に感謝!次回も期待しています。


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