罪と偶然の旅

ヘラクレスの栄光V
〜神々の沈黙〜


◆1992年発売  ◆RPG  
◆発売元=データイースト
 
◆ストーリー=何故か地震や天変地異がよく起こっているギリシャ神話時代。意識を失って倒れていたところを助けられた主人公は、自分が記憶喪失&不死身であることに気付く。また頻繁に不思議なを見るようになる。旅をするうちに、自分と同じ夢を見る仲間(やはり記憶喪失&不死身)と出会う。  
■友人Aさんから薦められてプレイしました。Aさんのゲーム評価は結構厳しいので、その彼女が薦めるのなら面白いんだろうなと思っていたら、その通りでした。ユーザーにショックを与える怒涛の展開がすごい。グラフィックはファミコン並でシステムも目新しいものがないけど、その中でストーリーだけがものすごく秀逸。あとフィールドの曲が良いという評価をよく聞きます。   ■実はこのゲームの脚本は野島さんだったらしい。ご存知でしょうか、スクウェアのFFZや]の脚本の人です。そしてこのゲームの主人公もZと同じく序盤で女装&記憶喪失。こっちが元祖なのです。なるほど納得。ストーリーのテーマも人間の罪という点が共通しているかな。ちなみに主人公は喋らないタイプですが、元々の性格設定自体も「無口」になっています。
■不死身故の面白いシステム。高低差のあるダンジョンにおいて上から下へ行くのに飛び降り可能。不死身だから死なないのです。このショートカットが楽しい。もう一つ楽しいのが『レイオンの日記』。こまめに読んでたら右図のようなことに(泣)。あと何故かアイテムを地面に埋められる。とっておきたいアイテムを一時的に置いとくには便利。要するに預かり屋みたいなものです。でも、何故埋める…? ■当時このゲームをプレイして、ストーリー展開にかなり衝撃を受けました。その頃はこんなに伏線の張られたシナリオはなかったです。ヘラクレスシリーズT,U,W,は割と「勇気」とか「希望」をテーマにしてるのに、Vだけがこんなシビアでヘビーな内容。「ヘラクレスの栄光」とありますが、ヘラクレスは脇役です。唯一人間に味方してくれるいい人です。多少なところもありますが。  
■ストーリー内容について。主人公達が記憶喪失のまま旅を続けるうちに色々な謎が出てきます。人間3人に不死を与えた神プロメテウスが人間に償わせたい罪は何か。ランダムに選んだ3人に不死を与えたのに、もう一人不死の仲間がいるのは何故か。行く先々で噂される男バオールは英雄か悪人か。そして終盤、主人公達の誤った選択により世界が洪水で押し流されることに!一つの町を除いて全てが海に沈みます。ここで私は「これからどうすりゃいいんだ」と詰まってAさんに電話してしまいましたよ…。だって陸が海に沈んでるからどこにも行けないし  ■終盤で次々と謎が明らかに。主人公の正体は、今まで散々噂で聞いたバオール本人。人間の利益の為に大地を傷つけるという罪を犯し、そのせいで天変地異が起こっていたのです。すべては主人公が元凶!一度は死んだけど、冥王ハデスに不死の若者の体を与えられ、人間を滅ぼすのを条件に現世に戻ってきたのですが、そこで神さえ予測しなかった偶然が。不死を人間に与えたプロメテウスの行為にゼウスが怒って、不死の人間全員を記憶喪失にしたのです。3人プラス主人公はこうして記憶喪失に。罪を償う旅に諸悪の根源である主人公が加わったわけです  ■もう一つのすごい偶然終盤で記憶が戻り、最後に加わった4人目の不死の仲間は、途中でバオールの息子とわかるのです。つまり主人公の息子!4人目が仲間になる時、主人公が名前を付けてあげるのですが、その名前が記憶を失う前の名前と同じ。要するに主人公は記憶喪失になっても息子の名前を覚えていたという…。この演出、私は感心しました!
記憶が戻ったお陰で、自分の罪を償う選択ができた主人公。最後に主人公が父親ではないかと直感した息子が「一緒に居させて下さい…」と言うのですが、主人公は何も言わず冥界へ。切ない…!主人公が善ではなく、悪の側で罪を償うという、当時にはない珍しいゲームでした。リメイク激希望。


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