とにかくVSなんだ! VERSUS ◆2001年 ◆監督=北村龍平 主演=坂本拓 
◆ストーリー=刑務所から脱獄した主人公は、自分を逃がす手筈の組織と、彼等に捕われた記憶の無い女性と遭遇する。何故か死者が蘇る森の中、組織の暗殺者達と死闘が繰り広げられるうちに、主人公は数百年にわたる"彼"との因縁を徐々に思い出していく。 ■日本刀のアクションが好きな私に、友人が薦めてくれた映画。キャストに知っている俳優が一人もおらず、かなりマイナーな作品かも。唯一知っていたのが、序盤の音楽の三味線。吉田兄弟の弟の演奏だそうです。いや、でも観てみるとすごかったですよ、色々と!
■確かにアクションがすごかった。しかしそれと同等くらいにすごかったのが、主人公を襲う敵の暗殺者達の個性の強さ!みんな、おかしい!すぐにキレるナイフ使い、風水を信じる小柄な臆病者、銃持ってるのに格闘中心の人、メガネかけておたくっぽい髪型の人。アクションの間中「この人達、変…変だって…」と、ずっと思いながら見ていました。 ■主演の俳優が、野球選手の新庄にものすごく似ているのです。顔の形も目もそっくり!途中でマトリックスのような黒コートに衣装チェンジし、もちろんコートの裾をひるがえします。素でかっこつける。ヒロインの女優は、最初に見たときはパッとしない風貌だなあと思ったけど、見慣れてくると色白でかわいい気がしてきます。
■ストーリーの本筋は、霊界の力を手に入れるとか、大昔の因縁とかあるけど、おそらくそれは些細な部分です。とにかく『対決』がテーマで、出てくる暗殺者はただアクションをさせる為の駒。第一、敵の組織って一体何をする組織だったのか不明。ナイフ使いとメガネの二人ができているのもストーリーにまったく関係無し。登場人物には名前も付いていません。何の説明もせずひたすら死闘を描くシンプルさが良いです。特にラストの99年後のシーン。(主人公が「もう壊すものが何も無くなっちまったよ」と悪の側にまわり、前世では敵だったボスが主人公を倒しに来る。)これで、善悪も何も関係の無い、純粋な『対決』を浮き彫りにできたと思います。 ■最初にちらっと過去のシーンとして日本刀アクションが出てくるのですが、現代のシーンになると、銃アクションの連続。何百発撃ったかわからない!途中で主人公相手ではなく、蘇ったゾンビ達相手に銃撃戦があるのですが、暗殺者たちも個性の強烈さはともかく、かっこよかったです。メガネでおかっぱみたいに揃った髪形の人が、意外にも銃の扱いが上手い。返り血がかからないようメガネを外してから銃を撃ったのがかっこいい!性格も冷静で、この中ではまともに見えました。
ネットで検索してみると、意外とたくさんレビューが見つかりました。評価は真っ二つに分かれています。「ストーリーが無さ過ぎる」と酷評する人もいれば、「B級テイスト満載。低予算でよくここまでやった!」と喜ぶ人もいます。酷評した人は、きっとA級を求めていたのでしょう。まあ、そこはただ単に監督の意向と観る人の好みが違ったというだけです。私としては、題名通り『VERSUS』を描くために、些細なものを一切捨てた監督の潔さ遊び心が好きになれました。楽しかったですよ!


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